Tuesday, May 17, 2011

碧痕71 二足歩行としてのジョゼ憑き

71 二足歩行としてのジョゼ憑き
 人魚ジョゼは「この世でいちばんエッチなことをするために海の底から泳いで来た」ことを暗闇に思い出して、町の野生の灯がどっと気配づく、この絶景、この被盗聴状態(この精巧な機械の、何もかも知っている配管の蠕動に導かれて)新しい生体ジョゼが、この世でいちばんエッチなことをしているさなかに大地震が来て、町の野生の灯がふつと消える、誰かが揺さぶっているみたいで、新しい生体ジョゼは光り出すように笑う。
 サガンの「一年ののちに」に導かれて半年ののちに、何事もなかったかのようにジョゼ憑きが落ちた、二足歩行のできない傷害者は、もう一つの新しい生体が満ちるために、魚を焼く。
 陸に上がって肺呼吸を始めた生体には、四足歩行ですら断崖を攀じ登る如くなのであるから、二足歩行などゼス・キリシトが水上を歩くようなものであり、ヒマラヤやユングフラウ登攀は、その遠い冒険の衝動の谺なのである。
 この冒険から、器官の延長は始まるのであるが、それは、習性としての隠喩の起源でもある。

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