碧痕87 タイム・スリップ、ズーム・アップ
87 タイム・スリップ、ズーム・アップ
転落がタイム・スリップを誘発するように、オスカルの成長の中断はタイム・スリップしたような覗き穴を身につけることである。1939年「ポーランド郵便局」に居合わせるまでにズーム・アップするオスカルは、しかし光速を凌ぐ運動をするというのではなく、半解脱するのであり、半抽象で10年の懸隔を失効させ、1939年の色彩をモノクロームにするのである。或いは、1939年のポーランド郵便局(ダンツィヒ市)それは、覗き穴としてのオスカルが質料化して乗り込んでいるニュース映画そのものであり、降伏して腕を挙げ項のところで両手を組むポーランド人と同じ格好の一寸法師オスカルを、1939年のどこの映画館でも見られるように、「眼鏡のない顔を引っこめ・・・手探りで霧を分けるようにしながら逃げて行く足音を数歩だけ」数歩だけオスカルが聞いた、あの、現金書留配達人のヴィクトル・ヴェルーンの、その、不屈の極度の近視がズーム・アップしていて、短いフィルムに撮られるためにオスカルは覗き穴を解除し、ちょうどその頃、犬のように極度の近視のヴィクトルはその犬になって姿を晦ましたのである。
これは、地上三十メートルのシュトック塔が音もなく移動するのを「数歩だけ」聞くのであり、1949年のオスカル・マツェラートの居場所は中継局に過ぎなく、馬鈴薯の貯蔵地下室を潰れたブリキの太鼓が占領してしまうオスカル・マツェラートの悪い蒐集癖は、光り出さないがらくたの太鼓を残して本当のブリキの太鼓が半解脱して失踪するのをピアニッシモで聞くのである。
転落がタイム・スリップを誘発するように、オスカルの成長の中断はタイム・スリップしたような覗き穴を身につけることである。1939年「ポーランド郵便局」に居合わせるまでにズーム・アップするオスカルは、しかし光速を凌ぐ運動をするというのではなく、半解脱するのであり、半抽象で10年の懸隔を失効させ、1939年の色彩をモノクロームにするのである。或いは、1939年のポーランド郵便局(ダンツィヒ市)それは、覗き穴としてのオスカルが質料化して乗り込んでいるニュース映画そのものであり、降伏して腕を挙げ項のところで両手を組むポーランド人と同じ格好の一寸法師オスカルを、1939年のどこの映画館でも見られるように、「眼鏡のない顔を引っこめ・・・手探りで霧を分けるようにしながら逃げて行く足音を数歩だけ」数歩だけオスカルが聞いた、あの、現金書留配達人のヴィクトル・ヴェルーンの、その、不屈の極度の近視がズーム・アップしていて、短いフィルムに撮られるためにオスカルは覗き穴を解除し、ちょうどその頃、犬のように極度の近視のヴィクトルはその犬になって姿を晦ましたのである。
これは、地上三十メートルのシュトック塔が音もなく移動するのを「数歩だけ」聞くのであり、1949年のオスカル・マツェラートの居場所は中継局に過ぎなく、馬鈴薯の貯蔵地下室を潰れたブリキの太鼓が占領してしまうオスカル・マツェラートの悪い蒐集癖は、光り出さないがらくたの太鼓を残して本当のブリキの太鼓が半解脱して失踪するのをピアニッシモで聞くのである。


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