Thursday, October 20, 2011

碧痕116 色違いの身体

116 色違いの身体
 「魔女」狩りの熱狂は、蒐集の熱狂であり、どの「魔女」も他の「魔女」と入れ替わることなく、それは、誰とでも入れ替わる眩惑なのではなく、それは、単純化の頓挫ではなく、平均化の頓挫、個々の「魔女」の身体と「魔女」の身体の間に「魔女」が出現しては逃れ去る眩惑である。この眩惑に、白状によるものであれ密告によるものであれ、隠れていたものが顕れる効果がかかる。更には、ひいふうみいと数え上げる収穫の喜びが加わるが、ここに至っては、花咲く「魔女」たちは、密告や拷問、裁判の手続きを通して異端の範疇を以て制圧され現実となるのではなく、強制収容所の「ユダヤ人」が正面と側面の顔写真と番号の入れ墨を通して展翅され、標本化したように標本と標本の間に出現する。叩き出そうと打擲しても頑固にひそむものや、火あぶりにしても嘲笑的に抜け出して別の身体に潜り込むやもしれないもの、いつも誰の顔でも舌でも誰かの顔、舌を借りて顕れて来る仮のもの、防禦し難く遁げようもなく、逃げる方に伏せているもの、そのようにして法則的現実でもなく感光もしない「二重の存在」の露頭の、その隠喩として「魔女」の色違いの身体をきりもなく製造あるいは捕獲するのである。

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