Thursday, December 01, 2011

碧痕130 忌避、反動、頓挫

130 忌避、反動、頓挫
 天空の気配を消す地上のものが鎧う擬態は一貫性である。一貫性を代表する直しさや「私」というものは、この擬態が解けかかれば脅かされる。しかし、一貫性が解けることは地上のものが天空の気配に掬い上げられることでもある。化が気配づくのであり、天空の気配と邪悪な気配は区別がつかなくなる。
 Laura がコカインの惹起する麻痺の隙間から多淫の強迫症状を誘導したのはひたすら父Lelandとの邪淫を拒むための奇略であるが、ここには二人マリアの谺があり、しかもLaura の死体を梱包して縛り上げたヴィニール・シートには釘づけの磔刑の十字が谺している。このLaura の天空の三重性に、地上の一貫性( moral)は耐え得ない。邪淫に耐え得ないのではなく、天空の気配のために解けてしまうのである。
 一貫性( moral)に打ち消されて疚しさとなって潜伏する媒体性は、地上の支配の水準に於いては、moral1 器官の延長としての媒体であることの禁止(あるいは度忘れ)として祟り返し、moral2 擬態の気配を消した一貫性が多重性を禁止(あるいは度忘れ)する。
moral1 密通のように到達のために分身が不随意に介在して来る場合は概して悪徳であるが、必ずしも忌避が貫かれるものではなく公然と制度にさえなる。しかし、分身のどちらが身代わりであるのか区別できないのは、既にしてmoral の頓挫である。命令と服従が厳格に分業している場合の、葉隠れ的諌争や玉砕の高揚、被造物を襲う崇高もまた、そうした頓挫である。
moral2 物語ることや隠喩の衝動は、虚偽や人格の多重性や分身を忌避することの反動の如くでもある。

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