碧痕120 thril・mystery
関心、興味は、具体として一つの解が顕れるのを漠として予期している問題で、その衝動が即興的に満たされた具体は飽くまでも間に合わせであるがどうでもいいのではない。「運命の人」とは、そうした決断である。
漠とした謎(責め)を解く攻め方が内向的であれば、謎解きは跫音に追い詰められるスリラーに、外向的であれば犯人を追い詰めるミステリに分岐する。
モルヒネで多くの関心、暗示、衝動が麻痺するなかで、突出して覚醒する幻覚(即興的、隠喩的にして極端に私的な具体)は、「運命の人」のようなもので、催眠術にかかっているかのように(祖父の写真を見るように暗示をかけられていると小さな黒点さえも祖父の写真になってしまうように)どうでもいいのではない。
尼僧の秘密は、告解を通して諸々の秘密が衣裳のように剥奪され、自由になるのではなく、呼び出されなければ成らないロボット(催眠)状態にあることである。秘密を手放すことは放心なのである。これは、程度や分業としての受身なのではなく、意志を盗まれた熱狂を孕んでいる。教導僧の姿を借りて尼僧院に顕れたユピテルが、完璧に気配を消す限りではその誘拐も姦通も覆い隠されるが、気配を消せない虚栄の、その失調に於いては、教導僧はたかが間に合わせに過ぎないのに決してどうでもいいのではない「運命の人」として刷り込まれてしまい、その効果に尼僧たちは眩惑し、夢中になる。 これは、尼僧院の真上に空飛ぶ円盤がのしかかり、尼僧が吸い上げられ、生体実験にかけられて妊娠し、或いは脳に発信機を埋め込まれて思考が筒抜けになったり誰かが尼僧の頭を通して思考する、といった症状の方解・反復である。

