碧痕147 渾身の潜伏
147 渾身の潜伏
食糧調達のための器官の延長は、器具、武器となり、宝になる。同じようにして、器官の延長としての分業を促進し、解釈(のための時間と手間)を節約する媒体は富になり、善になる。金銭、地位、名声、言葉、こうした善は、海の幸山の幸として現れる善を獲得するための手段として派生するが、こうした富の蒐索、蓄積に於いては手段が目的になりがちである。
伝達媒体が何かをスクープしようとして器官を目一杯に延長する、その肉薄は登攀に似ているとい
う。登攀の達成のための覗き穴が、隠れていたものが顕れる効果に包まれるだけでなく、覗き穴の組織を代表する眩惑に抱き竦められるのである。
蒐集の衝動に於いては、例えば、パリを一日歩いてホテルに帰って来た時に、靴の裏に挟まっている石粒を一つ小さなガラス瓶に封じ、日付を附して標本にする、というような蒐集の衝動に於いては、
狩が観光に、弓矢や銛が靴に、海の幸山の幸が石粒に変わるだけでなく、異性を魅きつけるための婚姻色が標本と標本の間に出現する眩惑に変わり、しかもそのアウラに魅惑されるのは異性ではなくコレクターその人であるように屈折している。
本当の持主の接近に感応して光り出す宝物の、本当の持主は単数ではない。そうした宝物は中間を突破して通過することはなく、また記録もされない。本当の宝物は、その具体の媒体性がうっかり秘密ではなくなっていて、本当の持主の接近に感応するかのようにこっそり光り出すのであるが(他の誰かのものなのか)自分のものとも思えない、何か起こりそうもないニアミスそのものである。
Zeppelin色違いの三枚組(「極地探検」1931年)にghost がかかるのならば、それは、この異常接近である。それは、貨幣が写し出すZeppelinではない。渾身の潜伏である。実体のない種としてのZeppelinが、不易ではない気配を消した「Zeppelin」に飛躍するのである。
本当の宝物は人の手から手へ移転しない。子供たちは、錯誤のように瓦落多を蒐める。それは、何か呟くような何か息づくような何か指図するような渾身の潜伏を(異常接近を)貯蔵するのである。
食糧調達のための器官の延長は、器具、武器となり、宝になる。同じようにして、器官の延長としての分業を促進し、解釈(のための時間と手間)を節約する媒体は富になり、善になる。金銭、地位、名声、言葉、こうした善は、海の幸山の幸として現れる善を獲得するための手段として派生するが、こうした富の蒐索、蓄積に於いては手段が目的になりがちである。
伝達媒体が何かをスクープしようとして器官を目一杯に延長する、その肉薄は登攀に似ているとい
う。登攀の達成のための覗き穴が、隠れていたものが顕れる効果に包まれるだけでなく、覗き穴の組織を代表する眩惑に抱き竦められるのである。
蒐集の衝動に於いては、例えば、パリを一日歩いてホテルに帰って来た時に、靴の裏に挟まっている石粒を一つ小さなガラス瓶に封じ、日付を附して標本にする、というような蒐集の衝動に於いては、
狩が観光に、弓矢や銛が靴に、海の幸山の幸が石粒に変わるだけでなく、異性を魅きつけるための婚姻色が標本と標本の間に出現する眩惑に変わり、しかもそのアウラに魅惑されるのは異性ではなくコレクターその人であるように屈折している。
本当の持主の接近に感応して光り出す宝物の、本当の持主は単数ではない。そうした宝物は中間を突破して通過することはなく、また記録もされない。本当の宝物は、その具体の媒体性がうっかり秘密ではなくなっていて、本当の持主の接近に感応するかのようにこっそり光り出すのであるが(他の誰かのものなのか)自分のものとも思えない、何か起こりそうもないニアミスそのものである。
Zeppelin色違いの三枚組(「極地探検」1931年)にghost がかかるのならば、それは、この異常接近である。それは、貨幣が写し出すZeppelinではない。渾身の潜伏である。実体のない種としてのZeppelinが、不易ではない気配を消した「Zeppelin」に飛躍するのである。
本当の宝物は人の手から手へ移転しない。子供たちは、錯誤のように瓦落多を蒐める。それは、何か呟くような何か息づくような何か指図するような渾身の潜伏を(異常接近を)貯蔵するのである。


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