碧痕206 類の気配、類の禁止
206 類の気配、類の禁止
南京大虐殺の証拠写真とされるものに、中国人の首がいくつも梟けられている写真や、千成瓢箪のようにいくつも生首が木にぶら下げられた写真、ちょうど今しも首が斬り落とされたばかりの胴体がその切り口をのぞかせている写真がある。生首を増殖しても何も埋め合わせられはしないが、日本兵が神経衰弱にならないように類の気配を発作的に模写して孤独から遁走するのである。
一方、犬山道節が、仁を以て恕せば善悪応報の天理空しと叫んで、積年百姓を虐げて来た佞臣箕田馭蘭二を八裂きにするにまかせたとき、恨み募る百姓たちは先ず手を切り落とし、次いで足、更には腹を割いてはらわたを引きずり出し、中には転移発作として俄然肉叢を啖うものもいる。身体のどの部分を馭蘭二が占めているのか徐々に拷問するように、馭蘭二が類の水準に逃げ失せてしまわないように、簡単に生首にならないように責めるのである。


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