碧痕209 約束の気配
209 約束の気配
「真景累ヶ淵」(円朝)が湛える兇悪なものの源の、そのくぐつであることの、その腹話の三重性に於いて、因縁というものは新吉やお賤を孤独に(特別に)狙い澄ましてはいるが、しかも新吉やお賤は因果のもう一つの解でしかない。孤独を鎧った新吉がおぞ気を振い、総身の毛も太るのは、その蔭(くぐつであること)に面しての模写発作であるが、それは戦慄ではあっても恐怖ではない。蔭は、胸ヲ締メツケ息モツカセナイホドスグ近クニアッテシカモ何処ニモナイ。この約束の気配は漏らさない。意志は解けているのに(マルデ誠実ニ)からみつき、這い上がってくるものにぞっとするのである。誠実なのは誰のことなのか。


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