Sunday, October 07, 2012

碧痕233 思いがけない跳躍

233 思いがけない跳躍  追い詰められたあとの、その入念な炙り出しのしあげとでもいうように、からだを寄せられ「ためしの機械」にかけられる。ミホは何を代表してからだを寄せ「ためしの機械」であるのか。地上のものであることは「死の棘」を鎧うことであるのに、どうすれば「ためしの機械」を躱せるのか。  「ためしの機械」にきりきり抱き竦められているのは実は、「ためしの機械」に変わり果てたその、流された身体である。このヒステリア(放浪する子宮)は、身体のどこかに特別な場所を見つける発作ではなく、身体が大蛇ではなく小さな鮒になる、あの(「魚服記」太宰治)思いがけない跳躍である。  瞋恚をもやして抱き竦めようとすると、記憶を失うのではないが滝壺の底に吸い込まれるように縮んで小さな鮒に跳躍することは、穢れたのか浄められたのか分かりにくい。しかし、この跳躍は、うらめしさを模写するだけでなく、大蛇に抱き竦められて「一滴の露」(道成寺異本)に清められてしまうのをゆるさない憤怒でもある。

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