碧痕236 それだけでは実在するものではない深淵
236 それだけでは実在するものではない深淵
形のない暗黒の質料(それだけでは実在するものではない深淵)が形式(霊)を受けて、それが属性であるかのように具体となって化けて出る、その、存在の魔法に於いて、それに先立って実在するものであろうとする、その限りで、認識の魔法が始まるが、それだけでは実在するものではない深淵に遡って頓挫する。
認識というものの、その奇怪な冒険の起原と頓挫を同時に告白する沈黙が、不思議である。
擬態は防衛の冒険であるが、それが防衛であると分かるのは、それに打ち消されて疚しさとなって潜伏した気配が剥き出しになると薄気味悪く迫って、しかし、擬態を鎧った存在(の魔法)ではなく擬態(認識の魔法)そのものが脅かされるからである。
エイドスがforma やspecies に解釈しなおされるに対応して、認識の起原はコスモスの起原や種の起原に零落するだけでなく、不思議が無限の後退の眩惑に零落する。


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