碧痕245 ズーム・アップの効果(仮の個体)
245 ズーム・アップの効果(仮の個体)
実体をズーム・アップし続けると関係と区別がつかなくなり、位置をズーム・アップし続けると状態と区別がつかなくなる。つまり、実体や位置が打ち消す力をなくして、仮のものに連れ戻されるのである。この仮の個体に於いて、みひらく裂目の基督教的な総括が、あわれ・あわれみであるが、モノのアハレ(仮の個体に面しての、模写発作としてのアハレ)は、模写発作としての(箸が転がってもおかしがるような)モノのオカシミを打ち消している。つまり、モノのアハレをズーム・アップし続けるとモノのオカシミと区別がつかなくなる。
「魚服記」(太宰治)は、小娘を限りなくズーム・アップしていくと限界づける力がおかされて小鮒に彷徨い出るという報告にして、「魚服」とは、個体や擬態がおかされていく遡上である。


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