碧痕258 奇妙な貯蔵
258 奇妙な貯蔵
或る種のアリの、女王蟻が産む働きアリの数が千匹程に及ぶと貯蔵アリが出現し、更に、巣に集くアリの数が二千程に及ぶに至って羽アリが新しい女王蟻出現の胸騒ぎとして出現する。こうした女王蟻は個体なのだろうか。働きアリや貯蔵アリ、羽アリは実体なのだろうか。器官の延長としての分業というものは、知らぬ間に何か限界をおかしてしまう。
群がる規模が或る限度を超えると奇妙な分業が進む。すなわち、群がりが個体ではないハシラの最終状態になり、間違いのように、貯蔵の業としての認識能の、そのエラー状態(分類し、数え、大きさを知ることがうまくいかない擬似奥行)が保存されようとするのである。「墨東綺譚」も、そのような奇妙な貯蔵である。


0 Comments:
Post a Comment
<< Home