Thursday, March 21, 2013

碧騒288 激励としてのmysterium

288 激励としての mysterium  マテオの「旅籠」は、「雨宿り」や「乗合」(一樹蔭一河流)の、その忽然の、基督教的paraphraseであり、その忽然の覚醒(居合わせること)に被曝している限りで、「旅籠」はJesus Christの出そうな場所なのである。  「墨東綺譚」(荷風)の「玉ノ井」には「雨宿り」と「乗合」が融合していて、その忽然では、「ああおかしい」が「不可思議な激励」にparaphraseされている。「玉ノ井」は、若き日に根岸の里で仄かに遠く耳にした廓の狸囃子の気配の場所化(潜伏)であり、独身者の最終状態として測量不能の断崖であるが、その断面にできた人面瘡が腹話して怪談になるのを「不可思議な激励」が阻止している。泉鏡花のおちこちで出くわすのも、この「不可思議な激励」で、それが告白にも怪談にもミステリにも精神分析になるのも阻止するのである。

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