碧騒292 錯誤発作
292 錯誤発作
日常は、忽ち届かなくなる片隅や覗き穴(視座)や、もの凄い(がそれほど深々と侵入しないで砕け散る)海の潮騒や同じ地点を決まった時刻に(しかしそれほど深々と刻み込むのでもなく)通過する電車の轟、こうした、擦過する自転車のライトほどにしか届かない光から形成されている。忽ちノイズになる光であるが、滞留(世に棲む日々)は不断にこの光に誘われている。
忽光は、この光が解けるのである。
円空仏一万二千体の、千手観音菩薩や竜頭観音菩薩や十二神将像などと木っ端から彫り出した名もない小仏群とに面して、一万二千体のparamorph を以て円空仏を呼び出すにしても、一万二千体の平均化としての円空仏を呼び出すにしても、一万二千体の分布の一部が全体を代表して円空仏が呼び出されるにしても、個体であるはずのない円空仏が個体性を鎧う限りで微かな差異はどうでもいいのではなく、忽ちノイズになる円空仏として場所に保護されるが、錯誤発作として、円空仏を限定する場所よりも優越しようと一万二千体が放浪するのである。


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