Monday, April 29, 2013

碧騒301 イヌが催眠術にかかっているように振り返る

301 イヌが催眠術にかかっているように振り返る  阿倍仲麻呂の三笠の山に出でし月かもにせよ、西行の年長けてまた来ゆべしとは思いきやにも月が懸かっていそうで、この月のエコーに、それが同じ月であるとは証明できないのであるが、同じ月であると企てる決断こそは、何よりも認識が追いつかない懐疑におかされている。仲麻呂も法師も、イヌが催眠術にかかっているかのように振り返るのは、予定されていたように振り返るのである。  これは、覗き穴が盗まれる思いがけない一撃であり、「審判」(F.Kafka) のKは、イヌのように殺されるのではなく(従って、イヌのように殺される結末は錯誤あるいは虚偽の報告であり)、イヌが催眠術にかかっているように振り返るのである。

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