碧騒328 ビアトリスの突然変異
328 ビアトリスの突然変異
飛行機は、その鳥瞰が猛禽類のもの、すなわち望遠レンズと広角レンズが同時にはたらく限りで、それは、遍在する窃視の覗き穴であり、空中飛行は、極端に絞り込まれて私的になる失踪を通して極端に公然としていることを証明しようとする。興味がTONO-BUNGAY(H.G.Wells)から飛行機へ転回するかに見えて、実は、寄生的な失踪(反分業)の強迫的反復、皮膚の輪郭の二重性の、その激励の転生なのである。その覗き穴は「或る婦人の肖像」(H.James) を浮かび上がらせるような複数の覗き穴の分業ではなく、つまり、その窃視はヘロドトス的ではなく、一瞬の瞥見で歴史的にするのでもなく、猖獗を極める疫病の蔓延に居合わせながら(空気のように居合わせて)失踪しているツキジディス的なもの、現在の惰性に寄生しながら現在の惰性から逸脱して、後世ガスデニ始マッテイテ、場所が虚構であることの気配、場所の再発の気配が消えない。この、場所の場所の浮上は、落下の(胸ガ潰レルヨウナ)覚醒である。
天使が最後の一羽であることは絶滅危惧種ということではなく、興味(命令)に矛盾しない範囲でずれる化の、その即興性に由来する。空中飛行が侵入しようとするのは、この天使の領分であり、その大気は寂漠である。空中飛行は、ビアトリスに絶滅危惧種ではなく最後の一羽であることが覚醒するような苦行であり、ビアトリスは単に有性生殖的な分業の片割れとして出現するのではなく、この苦行は単に階級や身分を有性生殖的に乗り越えようとして足掻くのではない。TONO-BUNGAY が寄生的な失踪(反分業)の、その皮膚の輪郭の二重性を以て励ましたのはアングロ・サクソン的移動と拡張の果てしもない冒険であるが、空中飛行が激励するのは、ビアトリスの突然変異、最後の一羽がおどろくことである。


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