碧騒343 兄の腹にできた妹
343 兄の腹にできた妹
「火垂るの墓」(野坂昭如)で、少年が幼い妹に塵と灰を見てしまうのは(見てはならない素性を見てしまうのは)感染保存であり、塵と灰であることが他の誰かの身体に顕れたために塵と灰であることが度忘れの状態になるが、妹は少年の腹にできた人面瘡で、その腹話が塵と灰であることで、少年を貫く妥当要求としての誠実は、自由が自ら蝉脱するように、自ら蝉脱する。生きることに根拠があるかのように見せかける技術として、妹が塵と灰を蝉脱して死体になるために誠実は正当性に蝉脱するのであり、妹は死体でしかなく、その隠れなさは妹の秘密性を汚す。人面瘡が隠れたのである。 しかし、野坂昭如を貫く誠実がはにかむのは、コンナノガオナカニイタノカというように五本に岐れた指をぴらぴらさせて食い破って出る人面瘡が不滅で、妹が少年の腹にできた人面瘡であることの、その秘密性に被曝するからである。


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