碧騒345 葛藤、弄精魂
345 葛藤、弄精魂
「骨餓身峠死人葛」(野坂昭如)は、昭和の、或いは人の世のアカズノマであり、このアカズノマの、その超俗の応答は、器官を延長する(偽(義)を探求する)性欲と食欲とのどちらがどちらに寄生するのか分からなくなる、その葛・藤である。
密室殺人のミステリに於いては、死体を密室に閉じ込めることで犯人は姿を晦まそうとするが、その韜晦の狙いは、葛藤を解くことをトリックを解くことに変形、誘導することであり、トリックを解こうとして何度も密室に戻って来るうちに分業が解けて探偵が犯人に蝉脱してしまうのがミステリの腹話(恐喝)である。オイディプスの場合、恐喝は神託じみるが、このようにして、区別をおかす葛藤が症状を変えてあちこちで再発している。
元祖釈迦牟尼(仏)は性欲の如く2祖迦葉は食欲の如く、茫々として28祖達磨は食欲(性欲)の如く29祖慧可は探偵(犯人(死体))の如く、いや継ぎ継ぎに「面目皮肉骨髄ヲ換フ」。弄精魂とは、根拠や出発を模索するうちに俄然、渾身の寄生が一気に発露、波及して区別、系統をおかしてしまう越境と潜伏である。
白いホトケカズラの花が笑う、その葛藤に面して俄然、破顔微笑するのは、超個体的なものと偽、場所との区別をおかされたアカズノマの、その超俗、その目配せ、その弄精魂の気配に被曝して、白いホトケカズラの花が笑うのである。


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