Sunday, October 20, 2013

碧騒359 水潜きしぬぐざわめき

359 水潜きしぬぐざわめき  何かの形式であると同時に意味であるものは、何かの最終状態である。  扉を半開きにしてはにかむその方の奇病が石牟礼に移り棲む、その精霊が、この奇病には懸かっていることを、すなわち、この奇病の最終状態であることを、石牟礼は思い出そうとするが、それは喉元まで上り詰めて息衝き余り、思い余って戦き、おののきながらそれは、リアス式海岸に姿を現わした「苦海浄土」にかかる。それが水潜(ぐ)きしぬぐ「流竄」の、未だ音韻となって現れない枕ことばである。石牟礼は「流竄」の精霊の如く水俣病を忽然とさせ、水俣病を単に追跡、記録するのではなく、水俣病の枕ことばを探し、つきとめたように放心する。

0 Comments:

Post a Comment

<< Home