Friday, January 24, 2014

碧騒391 拉致(推理の頓挫)

391 拉致(推理の頓挫)  黄泉が返るのは、黄泉の系列を遡上するのであり、神懸かりである。青く光る柘榴石の事件の解決がSherlockを何か抑え難く不快にしたのは、影がおどむ青い柘榴石が神懸かりで、推理が失効しているからである。その青く光る紅玉が禍々しいのは、数々の事件に巻き込まれながら貫かれる純粋やまつろわぬ没関心に人々が振り回され、拉致されてしまうからであるが、この拉致は、先立つ段階を根拠であるかのようにして次の段階を踏む推理の手続きを凌辱し、根こそぎ吹き飛ばしてしまうのである。  青い紅玉は、何よりも本当らしく何よりも嘘っぽいが圧倒して拉致し去る神託の、その如何わしい二重性の質料化である。  こうした犯人探しの推理や責めの頓挫は、市川崑の金田一耕助の場合、金田一の豊かな発声の精か、こんな結末になってしまうのは後から自分がやって来て立ち会ったからではないのか、とでもいうように吹き替えられている。この拉致のために、すさぶる野分の後へ出てしまうような放心が残るのである。

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