Wednesday, April 30, 2014

碧空423 捕食、被捕食

423 捕食、被捕食  フョードル・パーヴロウィチが色情に駆り立てられるように、イワン・フョードロウィチはカラマーゾフの種子(責め)に矛盾しない範囲で残虐の探索と蒐集に駆り立てられる。70歳まで色情に駆り立てられることが卑しいというのであれば、その執拗な蒐集の量も卑しい。この探索と蒐集の熱情が器官を延長して届こうとしているのは、昆虫を展翅するように耳を釘づけにしたり鼻を削いだり生体解剖したりするような舌鼓を打つ残虐が他の誰かの身体に降りかかっているために度忘れしていられる被捕食性、ということである。そうした残虐が性感領域を刺激し、興奮させるのは、来たるべき赤ちゃんが五本の指をぴらぴらさせながら食い破って出て来る獰猛の前庭としての性感領域を、捕食されるものであることを度忘れしている加虐、嗜虐の側が通り抜けてしまっているのではなく引きずったままに舌鼓を打つからである。  カラマーゾフの力は或る一族の特異な力ではなく、「青い空、春先の粘っこい若葉」や「曲線美」となって発芽する「若い最初の力」であり、それは赤ちゃんのように五本の指をぴらぴらさせながら食い破って出て来る。フョードル・パーヴロウィチの舌鼓を打つ淫蕩は、このカラマーゾフの力が被捕食性と区別のつかないことに抵抗しているのであり、イワンの狩り立てる探索、本質や最終状態への問は、贖罪であるかのようなこの、捕食の被捕食性に触れて頓挫する。

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