碧空424 盗まれていた接吻の発作
424 盗まれていた接吻の発作
接吻の発作は、捕食と被捕食の、その能所が解離しない曖昧な裂目に面して、微笑の発作のように彷徨い出すのである。敵意を解除するためではなく、微笑の発作として俗世間に送り出されたアリョーシャがあちこち訪ねて回る彷徨は接吻の発作のようなものであり、それは、イワンの「大審問官」の寓話で大審問官に問い詰められてぐうの音も出ぬかに見えたイエス・キリストが思いがけない接吻を以て応答する、その「曖昧な奇妙な一瞬」の盗作なのではなく、盗まれていた発作がイワンの寓話の一瞬の目配せを通して戻って来たのである。


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