碧空427 隠喩の発作
427 隠喩の発作
土を掛けられる音がして生埋めになろうとしていることに気づくことは、生きることが同じ時間をかけて死ぬことであることを劇的に圧縮する事態に逢着しているのであって、この非常も日常に(擬似救済に)属する。捕食と被捕食が解離していて、生埋めの気配に被曝して魂が剥き出しになっているのではない。
生埋めになっていることを知らない状態が擬似救済であるのに対して、奇妙なことに生埋めの気配に被曝することは救済なのである。ボッシュの、大きい魚が小さい魚を順次捕食している図の魚は、捕食しているか捕食されているかに解離する限りでは、「色即是空、空即是色、色即是空」式にしにものぐるいで脱皮せずにはいられないことを知らない。
ゾルゲが薄気味悪く迫るのは、ゾルゲがイワン・イワノウィチであり、反種族的、脱皮的で、離脱する限りで属し、誰でもなく、法則的に予言できなく、身分証明書のゾルゲにも逮捕されたゾルゲにもゾルゲは写っていないからである。


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