Thursday, August 07, 2014

碧空456 善の仮晶

456 善の仮晶  ヴェルホヴェンスキー氏は唐突に家宅捜索を受けて、秘密結社に「属していないと思っていたのに、気づいたら属していた」ことを思い知らされる。(「悪霊」ドストエフスキー)  スタヴローギンの告白は、悪業の懴悔というより、告白が何かの暗示や誘いに導かれているのではなく随意であること、知力や記憶の制御と支配も堅持されていることの心底からの主張であるが、それらしく装っていて、同じように告白、誇示するJ.J.Rousseauの日常が人知れず変質して追跡と陰謀の気配がしている、その被監視状態を、厭らしい悪霊の出そうな場所としてしるしづけようとする発作である。モナリザのように隠れてしまう悪霊が、罰じるし(告白)を現実にする最終状態である。スタヴローギンは、被監視状態ではないと思っていたのに、気づいたら覗き穴を盗まれていて不随意に導かれそそのかされていることに唖然とし、その隠れてしまうものを展翅しようとして告白するのである。  モナリザを盗まずにはいられないとすれば、それも、隠れてしまうモナリザが現実にする罰じるしを遍在させるためで、モナリザの息がしきりにかかるようになるが、それは、蔽いかける大きな顔や名を呼ぶ声や朝の光のようで、善と呼ばれてはいないか。  モナリザもスタヴローギンの悪霊も吸血鬼も、それが、薄気味悪く迫る方へ三通りに偏向、変異して報告されているのである。

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