碧空465 闖入(見えないものの拡大・収縮)
465 闖入(見えないものの拡大・収縮)
マカール・イワノヴィチ老人の瞳孔が顔ほどにも大きく拡大してきらきら青く光って収縮したのはアルカージイ・マカーロヴィチの彷徨を嗅いだからであるが、それはまた巡礼のような放浪様式ではないことも嗅ぎつけたのである。老人が背筋を伸ばして椅子に坐っているのは、放浪はもう終わっているのにまだこれからだというように移動の衝動が眠らないで疼いているのであるが、しかしそれは、輪郭の放浪とは違う。
輪郭喪失の秘密が、自ら守護するためであるかのように拡大したり収縮する。ニコラ寺院の鐘の音が降りかかる、その、過ぎ去っていない現在の闖入は、この藻掻き出るような拡大・収縮であり、見えない形式と場所と意味の区別がつかなくなるのであり、意味不明なのにまるで輝くように響いて来るが、恒温性(発信と受信の分業)は凍りついてしまう。
この意味不明は、抱え込んだ別の反語性や仮面性が葛藤の緩和や解離のために先ずラムベルトとアンナ・アンドレーエヴナとに分割され、その、見かけは唐突な分業の意味を精査するように更にアンナも矛盾する二つの方向に分割される、その走査の何だか分からなさとは何か違うが、ランベルトやアンナ・アンドレーエヴナの闖入も見えないものの拡大・収縮なのである。


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