碧空520 バーソロミューの帽子を被る不眠症
520 バーソロミューの帽子を被る不眠症
運命の即興性(C in A)とは、C(命令)に矛盾しない範囲でずれてA(具体)が出現する、その、思いがけない間に合わせであるが、意図に矛盾しない範囲でずれて偶然が出現する思いがけなさは、意図を打ち消しているが実は予期されていたということである。
時間がかかる日常は、この意図と偶然が解離し、運命が気配を消している。しかし、時間がかかるのは運命が潜んでいるに過ぎない。意図と偶然が解離することと解離しないことの間に(時間と運命の間に)彷徨う断面では、意図と偶然は入れ子になって輪郭を崩す。
不眠症とは、日常が運命の気配を消せないでいるのであるが、しかも尚、意図と偶然が解離して時間がかかることと、解離しないで運命がかかることとの区別をおかされまいと足掻くのである。時計がカチカチ音を立てて迫る遍在は、この足掻きを模写している。バーソロミューの帽子が脱いでも脱いでも被ってしまうように、時間を被っても被っても運命を被ってしまうのである。バーソロミューの帽子は、時間と運命の間に彷徨って輪郭をおかされている。
こうして、ありふれたものが不意に目配せをしてきらりと光り、手の届かないものになるが、それはごくありふれたものなのである。


0 Comments:
Post a Comment
<< Home