Tuesday, February 24, 2015

碧空523 三つの相に振動するトリックの翻弄

523 三つの相に振動するトリックの翻弄  「暗黒の塔」(S.King)の探索がgoose-chase であるのは、「暗黒の塔」が法則的でも歴史的でもなく、時間が実体になろうとして終わっている、というように襲う(タイム・スリップする)からである。しかし、追跡することは隠れなさへの抵抗、おびき出されるように追跡されているのではないかという疑惑であって、追跡しないではいられない。  ローランドのドアを潜り抜けるタイム・スリップは、「運命の三人」を呼び寄せるために法則的、歴史的に見せかけるトリックで、予定調和的「私」や予定調和的「世界」といった、その予定調和と呼ばれるトリックである。実はタイム・スリップするのは、意図と偶然が解離しないトリックであってドアを潜り抜ける(時間がかかる)ローランドではない。予定調和としてのトリックは、タイム・スリップするトリックの断面を中間突破するかに見せかけるのである。  ローランドが身体を置き去りにして乗り込んだエディの身体はローランドを限界づけ、位置づけるもう一つの場所であるが、この場所を限界づけ、位置づけるのはローランドにかかっている時間であり、you help me to help you 式の意味である。つまり、エディの身体がローランドの身体の器官の延長であることである。この器官の延長が顕微鏡のようにはたらいて一気に拡大されて出現するのがエディの「世界」である。  本当にタイム・スリップしたのかと問うのは妥当ではない。というのも、タイム・スリップは法則的、歴史的到達・保存ではなく、そうした予定調和と中間突破の呪術(擬態)が解けるトリックであるか、予定調和と中間突破するかに見せかけるトリックであるか、だからである。同じようにして、「復活」の探索は、goose-chase に終わる。  同じようにして、恋うる人の唐突な(まるでシルクハットから白鳩を出して見せるような)死体に呼び出されて「トリック」と呼びかけずにはいられないのは(「A Farewell to Arms」E.Hemingway )、三つの相に振動するトリックの翻弄になぶられているのである。

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