碧空529 オイディプス的探索
529 オイディプス的探索
オイディプス的探索がミステリとスリラーに分割されるのは、隠れていたものが顕れる効果が、隠れなさや逃げ場のなさが薄気味悪く(「陽射しが陰にとって代わられる」ように)迫ることに解ける、その変容に対応している。「陽射し」は擬態の気配を消していて、「陰」は擬態の気配が消せない。陰るのは、打ち消されて潜伏していた擬態の気配が浮上するのであり、隠れていたものが顕れる効果に保護されなくなるのであるが、このような反省(探索)に於いて正に、保護されない隠れなさが保護されてしまう。
このようにして、オイディプス的探索は謎解きから遠ざかる。偽造不可能であれば、本物は流通しない。偽物は本物を守護するように脅かすのである。運命の隠れなさもオイディプスを守護するように脅かす。運命の狙撃はオイディプスの真贋を区別しないためにテロなのである。覗き穴の極点(王の視座)で、「陽射しが陰にとって代わられる」ように覗き穴が盗まれることの隠れなさは、目が見えなくなるような衝撃であり、オイディプスが目を潰して盲目になるのはこの衝撃を記念しないではいられないのである。それは、犯人を捜す王こそが犯人であることが、通俗のミステリの結末で誰よりも犯人らしくない者が犯人として浮かび上がることに名残を留めているようなものである。
オイディプス的探索は謎解きから遠ざかって、「希薄な場所」(「暗黒の塔」S.K )に出る。場所を占める物となって出現すると同時に潜伏する霊的なものは同時に場所となって潜伏するのであるが、この、物と場所が解離しない、空耳のような耳鳴りのような暗騒音、振動、二重性、半陰影の薄明に出るのである。しかし、このような反省(探索)は反省が何であるのか分からなくする。


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