Wednesday, April 01, 2015

碧空535 乗っ取られた鏡像

535 乗っ取られた鏡像  「長靴を穿いた猫」の機略に喝采するのは尚早である。魔法使いの変化の野心が捕食の頂点ではなく姿を晦ますことであるのならば、その変幻自在がしかも捕食連鎖に制約されていると見せかけて捕食へ誘い、実は長靴を穿いた猫に入れ替わってしまって隠密に(くすくす)笑っている。「姿を現わす気になるまで鏡に映らないでいられる」のである。  長靴を穿いた猫が魔法使いを捜査していたかどうかは分からないが、「Twin Peaks」(D.Lynch )に潜むEvilを追い詰めていたCooper捜査官は自らの鏡像をEvilに乗っ取られるのであるから、Dracula の感染にOEdipus 的なものが合流していることになる。  その、乗っ取られた鏡像は、Evilが出現すると同時に潜伏するしるしであり、Evilを映し出している媒体は鏡ではなく、鏡像である。つまり、この鏡像は、Cooper捜査官を提喩的に代表するだけでなく、更には隠喩的にEvilを代表すると告知している。  それはまるでEvilが鏡に棲むかのようであるが、このEvilの野心は遍在することにある。乗っ取られた鏡像の占める場所は鏡ではなく、乗っ取られた鏡像が占める場所として音もなく潜んでいるEvilは「姿を現わす気になるまで鏡に映らないでいられる」。乗っ取られた鏡像が占める場所(Evil)が鏡ではなく行方知れないことは、狐につままれたようにEvilを何か遍在的にする。  この失踪は、個々の鏡像と鏡像の間に出現する、或いは個々の鏡像が代表するEvilが予定調和的だからであるが、もしかしてこれは、「Twin Peaks」が再発する気配だろうか。

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