Thursday, June 18, 2015

碧空561 「秘密の花園」(nowhere to hide)T.Capote

561 「秘密の花園」(nowhere to hide)T.Capote  「・・・ニューオルリーンズがもっとも秘密めいた、よそ者には本当の姿を見せない町・・・あちこちに見られる険しい壁、視界をさえぎる葉叢、錠をおろした、丈高く頑丈な鉄製の門、鎧戸のついた窓、ミモザとサザンカ・・・トカゲが二股にわかれた舌をちろちろ出しながらシュロの葉の上をわたる、草木が鬱蒼と繁った庭に通じる暗いトンネル。それらのものは偶然から生まれた装飾ではなく、この町の閉鎖的な建築物の中に住む人間たちの生活に迷彩をほどこし、・・・仮面をかぶせるために・・・イチジクの木陰でひそひそと囁き交わす二人の従兄妹たちを守るために編み出された建築様式・・・」つまり、町そのものが、根を張り回らし、枝や蔓を伸ばす種々の獰猛な草木が生殖器官を空中に剥き出しにした「秘密の花園」を守護する霊獣の変装なのである。  それは、覗き穴の向うに咲いた密通の現場を守護する気配、密通を冒したつがいと密通に侵されて覗き見るものの他に「もうひとりいる!(there is someone else amongst the three! )」というような(there とsomeone elseとが解離しない(複合・零度の))ぞっとする気配、Venus がかかった気配に通じる。「秘密の花園」とは、「もうひとりいる!」すなわち逃げ場がない(nowhere to hide )のである。Dracula 伯爵がcommon earthを運び込んだことを知ってJonathan Harker がDr Van HelsingやDr Seward らと忍び込んで「認識された!」と感じる館は、「秘密の花園」の変奏である。覗き穴の向うの密通の現場が、呪われたペルソナ(分身するまでに誰かが器官を延長して来て管を通された「私」、密通の現場に面しての憤怒とも嫉妬ともつかぬ瞋恚が責めての抵抗であるような「私」)を映し出す鏡の効果であるように、しかし館のエクトプラズムはいやな土気や臭気や殺到するネズミの気に変わって、さらには霧となってMina(Mrs Harker)の部屋まで偽足や触手を獰猛に伸ばして守護するとも凌辱するともつかない。それは実体となって圧しかかり、Minaを眠らせない。それは眠っていても見え、それならと目を瞑っても瞼を透過して見えてしまうのである。

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