Friday, July 24, 2015

碧空575 大ハムレットの甲冑、小ハムレットの佯狂

575 大ハムレットの甲冑、小ハムレットの佯狂  大ハムレットの甲冑は夢の技法に従い、大ハムレットの舌(小ハムレットとは別の誰かの声帯)を通した告白は二重性のトリックを操るミステリの技法であるかに見えるが、むしろ、癩病じみた瘡に皮膚を覆われた大ハムレットは小ハムレットの人面瘡である。その人面瘡が口にする「incestuous」は、叔父と母が鏡になって映し出した「呪われたペルソナ」であるが、小ハムレットはオマエノコトナンダゾと恐喝されているのではなく、大ハムレットを毒薬で殺害したのは叔父であるはずなのに小ハムレットである恐れが知らぬ間にあることを知らぬ間に白状しているのである。大ハムレットの甲冑は人面瘡の変容であって、まるで人面瘡が白状を恐れるかのように硬直して口を噤むが、抑え込み切れないというふうだ。  こうして、大ハムレットが鎧う甲冑は、un-dead 状態を僭ろうとする防御であり、身に覚えがないのに白状し出す思いがけない自発をできるものなら回避したいのである。  同じようにして、小ハムレットは佯狂を鎧う。それは、un-dead 状態を模写することで覗き穴を確保して、un-dead 状態に抵抗している。小ハムレットが肥満体であるといううわさには含蓄がある。行方知れない輪郭を贅肉となって探し索める肥満体を一つの解として現実にするスピリットのもう一つの解として佯狂は顕在化する。

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