Thursday, September 10, 2015

碧空606 秘密を症状として持ち越す

606 秘密を症状として持ち越す  窮極の不眠症、絶対零度の不眠である「透明人間」が、そこにいてそこにいない混沌を神経症として持ち越して次元減衰した断面であるのは、身体が時間旅行に出てしまわないように、あるいは出てしまっている身体の脱落を隠すように透明なのであり、声だけは懸隔を越えて腹話術がかかっているのである。  Dracula のun-dead 状態も、実はよく眠るようで眠れないし、曙光に目醒めもしない零度の症状を持ち越している。  神々を人格化する次元では、媒体性は姦通性に次元減衰して零落する。残された身体は、懸隔を越えて腹話術で話す。まるで、同時に異なる場所に存在することを知られたくないというふうだ。  極端に収縮するとタイム・スリップするのか?すくなくとも寂漠のような媒質変化には襲われる。場所の場所の浮上は覗き穴の能所が入れ替わる衝撃で、身を潜めていても隠れなさに曝される。  「City of Glass」(P.Auster )は、電話が鳴って応答するとタイム・スリップしてしまう話に仕立て直せる。回路の混線(二重性)のトリックを通して、先方が応答すると再び混線が起こってタイム・スリップし返すように仕掛けられもする。二つのものが同じ位置、位格を占める身代わりのトリックを以てしてはミステリに、一つのものが同時に別の時を占める身代わりのトリックを以てしてはタイム・スリップに仕立て上がる。身代わりは、零落の次元では忍術であり、器官の延長の技術革新である。カムイ(「カムイ伝」白戸三平)のfree will は、free fall の不随意性、制御不能、ロボット性を神経症として持ち越している。

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