Sunday, September 20, 2015

碧空612 (エラーとして)自由の気配がしている

612 (エラーとして)自由の気配がしている  擬態の霊の二つの解は、化と、その次元減衰した断面である擬態とである。  霊的なものは出現するために具体となって打ち消されなければならない。消滅するのではなく、間に合わせに(生き延びるために)化けるのであり、その潜伏が場所、疚しさの起原である。場所とエロヒムの区別がおかされた「エロヒムの棲処」は、こうした場所、疚しさの気配である。  霊的なものが打ち消される化は、責めとしての問が生き延びるために即興的に解かれるのであり、その個々の解と解の間に出現しては逃れ去る陰画が種である。個々の解は、種ではなく霊的なものを映し出す媒体であるが、傷つき易い個々の身体はその媒体性を秘密にして種を鎧うか、秘密ではなくなってゴーストがかかるかである。  傷つき易い個々の具体が種を鎧うことが、生き延びるための義の症状である。種の起原は「私」の起原でもあり、個々の具体を種や「私」が代表するのは責め苦ではないが、個々の具体が霊的なものを代表するのは責め苦である。  傷つき易い具体にゴーストがかかるのは、責めと責め苦の区別がおかされて、傷つき易い具体を平均性でしかない正しさを以て守護している義の症状が解けるのである。  Blueはもう一つの傷つき易い身体Black を覗き穴の向こうに呼び出す。それはBlueではないが、窃視し過ぎてBlueはBlack の媒質になってしまい、つまり透明になってしまい、Blueを代表して傷つき易い身体が鎧っていた「私」は異様に(恥ずかしくなるほどにも、息がかかってしまうほどにも)Black に身近なのに時間旅行に出てしまう。この次元減衰は自由や孤独や思考とは何か違うが、Blueには何か自由の気配に思えてしまう。それは、いつの間にか覗き穴の能所が入れ替わって糸のないマリオネット状態であることに(Black の心臓が鼓動を打つ音は聞こえるはずもないのに聞こえて来る位置異常に)狼狽して、転移発作的に(エラーとして)自由の気配がしているのである。(「Ghosts」P.Auster)

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