Sunday, October 25, 2015

碧空635 半具体のマリアとクローンの拡散

635 半具体のマリアとクローンの拡散  マリアが媒体性と姦通性の間に振動するように、Adam Walker と呼ばれる症状は生まれ変わりの半頓挫、半具体で「literature」と「justice 」の間に振動する。マリアは種の関心のように公的にして法則的であるのに同じだけ私的にして正体不明であるが、Adamの「literature」も「justice 」の鏡像にして極端に私的であるのに極端に公的でもあって失語症じみている。つまり、重信回路(phantom circuit )を媒質にした死蔵なのである。(「Invisible」P.Auster)  一般性が保持されない失語状態の言葉は、con-science (種の関心)がconsciousness に転位して物と場所が解離する(すなわち、媒体性が秘密になる)のではなく、化け切らない半具体の金縛り状態である。言葉が媒体として現実になり切らない。Adamの「literature」は公開されないのではなく、エコーしてしまうのである。  漠とした正義の気配はcon-science がそれと知らず使いこなされて生まれ変わる(現実になる)のであるが、Adamの「justice 」はphantom circuit を媒質にしてエコーしてしまう、すなわち、叫んだ責めとは別の叫びが口から飛び出してしまう。  Adamと呼ばれる症状は、ちょっとした隙をつかれて幼い弟(Andy)が湖におかされて餌食になってしまったことの、その思いがけない唐突な選別と生贄であることに面して、生贄であることを共にするような過ぎ去らない半具体、過ぎ去ったかに見えてもそれは症状が転移したに過ぎない半具体、Adamの「literature」と「justice 」はそうした半具体の症状であるが、そこでは、解としての症状(Adam)がしかも二つの解(mirror-image versionとしての「literature」と「justice 」この二つの症状)となって解放される問なのである。  こうした唐突な選別と生贄は、マリアにも降りかかった。受胎告知を敷衍すれば、夜な夜な通って来る姦通とそれが母子相姦になるという金縛り状態(the half-fall )であるが、伸縮自在の一寸法師を抱くマリアが窮極のアイドルであるのは極端に平均的、一般的、法則的であるからだとすれば、このアイドルは半具体のマリアを死蔵している。マリアと呼ばれる症状は、半具体のマリアが過ぎ去らないために、いつまでも叫んだのとは別の叫びが口から飛び出してしまう。しかも、叫ぶごとにこの症状はクローンになって拡散するのである。

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