Thursday, October 29, 2015

碧空638 不眠のカノン

638 不眠のカノン  「一角獣を抱く貴婦人」のように大きなスカートの暗闇が包み込む一寸法師の図(「ブリキの太鼓」G.Grass )の、その一寸法師であることの意志は、一般意志のように和音の如き(音の和ではなく、種の如き)出現なのではなく、糸のないマリオネット状態、これも半具体である。この、化け切らない意志は、その、解かれ切らないことの不正義の疼きが蕁麻疹のような症状となって顕れたのではなく、性器が全身を代表することで「Little Nurse」の如き入れ子状態となって顕れたのである。  Marilyn Monroeに顕れたのは不眠や鬱の症状であるが、Marilyn Monroeと呼ばれずにクローンが拡散する一方で、大きなスカートの暗闇が包み込む一寸法師であることの意志、性器が全身を代表することで、不断に拡張、前進しているはずなのに世界が終わっているかのように不断に後退、収縮してしまっていて、もしかして世界が終わっているのなら明日のための眠りは宙に浮いてしまう。しかし、眠れないという訴えはなおも、世界が終わっていることにカノンのように抵抗しているのである。  「ブリキの太鼓」の背景もまた、不眠の、カノンが鳴り響く、提喩の時代である。

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