Monday, November 16, 2015

碧空650 オイディプスに腹話術がかかる

650 オイディプスに腹話術がかかる  スフィンクスは解かれなければならない問そのものであり、解に化け、解の場所に転位し、二重に姿を晦ます。スフィンクスに呼び出しを食らう隠れなさは劇的変化であるが目に見えないし極端に私的であるので、目に見えるように劇化して他の誰かを要請する。スフィンクスの転落は、隠れなさが暴露に零落したことの目じるしである。  スフィンクスが運命として顕れた種の関心であるように、「たけ」(648 )は道徳として種の関心が顕れたのであり、その例解は鉄の輪がひっそりと止まることであるが、その例解が落とす影(止まりそうになってからんからん逆戻りしてしまう転落)は、隠れなさが他の誰かを要請する恐喝(他の誰かの舌を通した告白)に零落していることの目じるしである。この転落は打ち消したい悪であるが、とすれば、スフィンクスの転落も打ち消したい悪なのではないか。  そもそも種の関心(問)が転位する場所や地は、解に打ち消された種の関心(con-science )が疚しさとなって潜伏するのである。この悪い気配は、寄生体の如く解の媒質(narrator)を乗っ取るようにあふれ出して来て、打ち消したい悪に転位する。悪は何よりも思いがけない場所に(潜伏した「神」に)ひそむ。  猖獗を極める疫癘のようにオイディプスを襲う恐喝じみた神託が暴露するのは、打ち消したい転落であるが、それに先立って転落が(上方への転落が落とす影が)予兆的に、眩暈のようにスフィンクスに顕れていたことになる。問が解に進化(零落)することをスフィンクスの転落は複写し、スフィンクスの転位と韜晦は、オイディプスが失明によって姿を晦ますことの(narratorになることの)陰画である。  こうしてオイディプスに腹話術がかかるために、失明ではなく記憶喪失、あるいは透明になることやタイム・スリップを仕掛けるとして、それは、転落の系譜の遠い谺である。

0 Comments:

Post a Comment

<< Home