碧空656 半人半獣の転移、症状の相続
656 半人半獣の転移、症状の相続
スフィンクスはオイディプスの鏡像であり、「長靴を穿いた猫」に入れ替わった魔法使いの潜伏が遍在するnarratorであるように、オイディプスに入れ替わったスフィンクスはそれとは知らないオイディプスの媒質(オイディプスを導く大気)である。オイディプスを代表する症状がしかもその症状を解とするような問であり、そのような二重性に面して、狼狽からか、スフィンクスは発作的に転移する。そうした転移の先にAutomobileが座している。
半具体としてのAutomobileは、自動車が昆虫のように増殖して集く20世紀の擬態疲労であり、半人半獣であることの酸欠状態から大あくびしている。Automobileは階級を乗り越えようとするGatsby(F.S.Fitzgerald )の鏡像であり、しかもそれがJ.Eckleburg の巨大な広告看板の双眼となって秘密に姿を顕わすことからして、Automobileは、器官の延長としては四肢の増幅強化にもまして視力の拡大深化であることを暗示している。
目的が種に進化(零落)し切らないでいるAutomobileは、偶然の他の誰かを要請する衝突事故の、その衝撃そのものであるように姿を晦ます。偶然の窃視が遍在する窃視の媒体であるとも、遍在する窃視が偶然の窃視の媒質であるともつかないのである。これは、自由に移動するようで道路網に規制されている糸のないマリオネット状態を、問としての半具体の一つの解としているが、この症状(解)は、二重性の解消なのではなく相続である。
Automobileは、Gatsbyが遠くへ迅速に到達するための器官の延長だからではなく、偶然の他の誰かに迫るための種の興奮、しかも敗色の濃厚な世界の黄昏に居合わせている興奮そのものだから、Gatsbyは希望を症状として相続するのである。


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