Sunday, December 06, 2015

碧空663 出自を打ち消そうとする暗闘

663 出自を打ち消そうとする暗闘  戦いに負けた方が雌に分化する変温動物のことが報告されている。猿がマウントするのは既に儀式化していて、誘導される分業は生殖的な雌雄ではなく、群の中の序列である。オイディプスが王妃を母とは知らずに娶るのもマウンティングが更に延長された儀式であるが、それが知らず知らず出自を打ち消そうとする操作であることには気づいているはずもない。  運命や生命の操作も糸のないマリオネット状態を代表するに過ぎなく、出自を打ち消そうとすることである。オイディプスの話は、出自を打ち消そうとする暗闘の話の、その系譜のどこかで派生している。Jesus Christ的なものはまるでNietzche的なもので、誰に入れ替わったかわからない究極の隣人性は出自を打ち消そうとする究極の暗闘でもある。道徳はその出自である擬態を打ち消そうとし、擬態はその出自である化を打ち消そうとする。  DNA が問いかけるのは、DNA を操作するように導く糸のないマリオネット状態である。操作しても種の関心を逸脱することはない。どの解も正解なのである。Sphinxも同じようにしてオイディプスに問いかけ、その導きは通りかかるオイディプスに先立つ。流されるように導いたのはSphinxだからである。  オイディプスがSphinxを打ち消すのは出自を打ち消したいのである。その出自は中間的、すなわち希望の症状であるが、オイディプスが自ら目を潰すのは希望の症状に罰じるしをつけるのであり、しかし、この盲目は記憶喪失のように露出的に姿を晦ますことではあっても、消滅するのではない。

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