碧空735 「独身者」の祈祷
735 「独身者」の祈祷
「郷愁」に導かれて未来は既に経験されてしまっている「自殺者」は、選択し損ねている不正義の症状の「独身者」を膝でちょっと突いて眠らせない。(「碧空716,717」孫次郎)
「独身者」は、「自殺者」とは相似の部分と全体であるように「自殺者」一体分を孕んだ奇形嚢腫であるから、「自殺者」を乗っ取ろうと足を踏み出す瞬間、選択の決断と決行をためらうように戻ってしまう舌打ちのような逡巡は、やはり世界は終わっているのかという暗闘である。
この、繰り返される「独身者」の足掻きと不眠が、F.Kafka の発作では、書くことに転移、変換されるのであるが、それはどこにも届かない。この奇妙な振る舞いと強迫的な反復は「独身者」の祈祷なのである。
こうして、「独身者」の祈祷は、「自殺者」にいつの間にかできた奇形嚢腫がしゃべり出すのであるが、一体どちらに腹話術がかかっているのか判別し難い。


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