碧空748 しき波のように打ち寄せる物語の脱皮
748 しき波のように打ち寄せる物語の脱皮
物語というものは、出来事を贖うことで展開する。それは、見かけは換喩的埋め合わせであるが、脱皮するのであって実は提喩的、底なしの後退である。つまり、物語の症状である復讐の気配は正体を現わす効果であるが、この脱皮はいつまでも正体を現わし切らないことなのである。「実は・・・」を報告様式とする科学の最終状態も、この、道端で金貨を拾うような「郷愁」であり、文学が変態を扱って脱皮するように科学も変態を扱って脱皮する。「何事もなかったかのようにまたいつもの一日が始まった」を以てしばしば物語は締め括られる、とカフカが主張するのも、脱皮の尚もつづく気配からである。それは、虚構という虚構、真実という真実、ジャンルというジャンルを海の波の揺れ動きのように貫いている。


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