Wednesday, May 04, 2016

碧空763 「二人をごちゃ混ぜにした」通過の、偶然の素材

763 「二人をごちゃ混ぜにした」通過の、偶然の素材  私とは没交渉であるはずの「野火」(大岡昇平)が、私が通りかかる「ために」狙撃的に立ち上る。この「ために」は目的なのか原因なのか見極め難く、その視座(覗き穴)を通して覗かれているのであり、一気に距離が失効し、この極端に私的な通過の経験が伝聞の如くになる。こうした二重の通過に於いて、スフィンクスもオイディプスが通りかかる「ために」狙撃的に闖入して、しかも潜伏した大きな顔の上を通りかかるオイディプスに耳打ちして問いかけるのである。  太陽王ルイと瓜二つの双子の片割れであることを隠す鉄兜を被った鉄仮面の余計な二重性の封じ込めは、オイディプスの瓜二つの片割れの存在を半人半獣のスフィンクスの二重性に隠し込んで谺している。問いかけるスフィンクスのスーパー・ヴォイスは、頭に遠方から管を通されたオイディプスの思考の不随意性を透視している。それは、流された貴種の「二人をごちゃ混ぜにした」極端に私的な症状となって闖入して、国土に悪疫が猖獗を極める「ために」オイディプスが罪に罹る。それは、二人ルイでは、余計な二重性が鋼の仮面に覆われて「二人をごちゃ混ぜにした」幽囚性に変形して、太陽王ルイがこの世に君臨する「ために」鉄仮面が罪に罹る。

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