Thursday, June 09, 2016

碧空783 物語る目の起原

783 物語る目の起原  久生十蘭と手塚治虫を青い水脈が貫通している。この、青い水脈とは、Sphinxの、問としての輪郭喪失と解としての輪郭喪失の間の変態である。物語群は、幽霊性を告白するparamorph である。  輪郭喪失の予言としてのSphinxの媒質は、すなわち意味は、復活である。どの輪郭喪失の告白(青いparamorph )と入れ替わったのか平明ではないのである。  手塚治虫の場合、輪郭喪失の告白と後発催眠術的な予言の間に振動するような、外在する人面瘡、沼に沈んでいく酷薄の光景は、「黄金のトランク」の外皮とも中身ともつかぬ軟体が、憤怒のように震えて、催眠術にかかったように振り向くイヌに変貌する、そのメタモルフォーゼである。この酷薄の光景が、観察と告白の間に振動する物語る目(重瞳)である。この物語る目は猛禽類の鳥瞰、捕食の衝動の目であるから、それは単に生贄であることの複写(告白)であるだけでなく、産業なのである。目を潰すオイディプスの風景は、流された貴種であることの劇化であるだけでなく、オイディプスが鉄仮面を被って常陸坊海尊のように物語から生還して物語る目の起原をおさらいしているのである。

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