Tuesday, July 19, 2016

碧空810 「もの思いに耽る」(in a brown study)

810 「もの思いに耽る」(in a brown study)  渇きは、そのまま種の関心の枯渇ではない。暖炉の火を憂い見詰めるメランコリは、錬金術師のように鬱然と渇いていて、それは鬱勃とした種の関心に素材が追いつかない焦燥である。ミツバチだけを狩るツチスガリがとっくにミツバチの絶滅している地表によろめき出るようなものである。春愁は、何か沸々と湧き上がる(それなのに、どうしていいか分からない)はしゃぎと戸惑い、衝動が先走って騒ぐが素材がついて来ない、即興の前駆症状、頭は「誰かがぜんまいを巻いて機械を動かし始めた」空回りのようなものである。北向きの部屋の「くもりのガラス、空ろな目の色、とかしたミルク」、しかし、この物蔭におどむ(思いがけないほど年をとった)陰翳、灰色や不透明や空虚が決して枯渇ではないことを、わずかな隙から忍び込む秋の吐息やモズの声が呼び出している。

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