Monday, August 15, 2016

碧空828 1812年の大彗星と肥満体

828 1812年の大彗星と肥満体  ピエール・ベズーホフも鏡を覗き込めば部屋が映ってしまう種族に属し、この、人知れず物語から生還している肥満体は、さもなくば透明か盲目か、目の位置異常なのである。祈りにも様々な様式があるが、肥満も連祷のように立ちのぼって、どこにも届かずに消える。それは、分裂に耐えており、この肥満体はいつまでも1に満たないが、その極では分裂することになる余計なものを(しかも個に満たないものを)もう一体分孕んだ奇形嚢腫である。そこからナターシャが(すなわち、叩き出された狐がナターシャの姿をして)産み出されてしまったのであれば、それは、流された貴種(シャムの双子の片割れ)として扱われることになる。ナターシャも「見てはならない」出自の影(Venus )を落としていつまでも1に満たない。(「戦争と平和」Tolstoi)  呼び声(服従発作)というものは、輪郭を励起するのか輪郭をボロボロに崩してしまうのか、それは普遍を疑うのに遍在的で、自由より自由(というより霊的)で、そうしたむさぼるような発作の局在を(誰にも見られていないが、隠れなく)1812年の大彗星は逆せ上がるように映し出すのである。それは、1811年の大彗星の接近とは致命的に違う。人知れず生還している肥満体は、1811年の大彗星が1812年の大彗星に入れ替わって1811年が知らぬ間に1812年にタイム・スリップしてしまっている、というふうなのだ。

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