Wednesday, August 17, 2016

碧空829 零度の「1812年」、零度の肥満体、反問

829 零度の「1812年」、零度の肥満体、反問  「見てはならない」影を落とし、しおれたナターシャの姿をして叩き出された狐は、まるで「O侯爵夫人」(Kleist)が身に覚えのないのに受胎している不覚のようなもので、ナターシャをボロボロにする恐慌であるが、ピエールのむさぼるような問、輪郭を探す盲目の口唇のような、獲物を探す盲目の触手のような肥満体は、その究極の捕食の瞬間の一撃で、叩き出された狐がナターシャの姿をして小さく小さく震えているのを零度の「1812年」に送り込む。(碧空828)  それは、救出を待つ症状が不完全に起こる無重力の媒質で、不完全に送り込まれたナターシャは牝のスフィンクスに姿を変えてむさぼるように反問することになる。零度の「1812年」のナターシャが個に満たないのは、moral とimmoral の間にというよりmoral とamoralの間に零度だからであるが、それが反問である。零度の「1812年」にのぞき込まれるようにのぞき込む零度の肥満体の、その物語る目ほど、オマエハ誰ダという反問にふさわしいものはない。

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