Thursday, August 18, 2016

碧空830 伽藍を蔽うもう一つの心臓の音

830 伽藍を蔽うもう一つの心臓の音  満天の星空に抱き上げられるようにピエールと呼ばれる肥満体にすくい上げられるナターシャは、そのようにしてナターシャとして白狐を透視しようとする肥満体が一体誰であるのか知りたくなるにしても、ピエールがいつまでも個に満たないではないかと問い返されるのはそのためではない。この問いかけは肥満体そのものであって、しかし別の方面から聞こえて来るのである。  一体、導くのでなければ肥満体はどうして満天の星空のようにナターシャをすくい上げるだろうか。肥満体が太ることを以て探すのは輪郭だけではなく、伽藍を蔽う(伽藍が脈動するかのような)もう一つの心臓の音である。その(胎児が浮かんで聞いているような)心臓の鼓動を、ナターシャは肥満体を通して系統発生的に聞くのである。(碧空829)

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