碧空848 二重の白状、二重の密会
848 二重の白状、二重の密会
カレーニンを身に覚えのない姦通の二重の白状(碧空847 )で脅かしている輪郭喪失は、祖先(責め)と子孫(責め苦)との区別が知らぬ間におかされているのである。祖先と子孫が解離しない、この肉薄する輪郭喪失がアンナも脅かすのであり、それは、誰と入れ替わったのか分からない究極の隣人性に於いて再発する。可能なものとなって現れる隣人は、その許しそのものが責め苦であり、先立つはずの架空の責めを孕んでいる。個の出現が個に先立つはずの架空の種を宿しているのである。同じようにして、部分の出現に於いて初めて部分に先立つはずの架空の全体が生まれる。こうして、この世のものに先立つはずの架空のこの世が広がるのであるが、これは、Venus の姦通の果実であるErosが姦通に先立つ(はずのErosと解離しない)天空性の断面である。
カレーニンの身に覚えのない姦通によって生まれた息子と、ヴロンスキーとの姦通によって生まれた娘との差異は、アンナの身に覚えのない姦通と身に覚えのある姦通の間にある。息子は霊的な(自由より自由な)責めとしての姦通の、そのむさぼるような予期を代表し、娘は責め苦としての(自由な)姦通のおぞましい受肉である。そして(自由より自由な)霊的Erosが息子の姿で出現していると同時に潜伏している限りで、息子(と息子の「見てはならない影」)との二重の密会はスリルと興奮に富んだものになる。


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