碧空864 救済が襲いかかる
864 救済が襲いかかる
天文学者の家族に取り憑いて、木星の全天を蔽う月のように地球の全天を蔽い尽くそうとして迫る惑星「MELANCHOLIA」(Lars Von Trier )、この、太陽に隠れていたMELANCHOLIA は姉妹の腹に一時間に十万キロというようなもの凄い速度で膨れ上がる。この世の終わりの異常接近と侵入は「NOSTALGHIA」(碧空749 )の絶景でもあるが、この隠れなさは、水と生命の惑星なしで(従って家族も「私」もなしで)済ませられることの(絶対の不平等の)通告でもある。
MELANCHOLIA とEARTH との衝突は、受精の瞬間が宇宙空間にエコーしたもう一つの受胎告知の図であり、MELANCHOLIA とNOSTALGHIAが懸け離れているが何か酷似していることの暗示である。そもそも、「ANTICHRIST」(Lars Von Trier)は絶対の不平等が受け容れられないのであるが、しかし、交媾している間に幼子が窓から誤って転落して死ぬのを何もしないで見ていたというより、まるで「自由意志」で窓が開き、転落へ誘導するように見ていたのはこの、能所が解離しない窓なのである。
Christか反Christかは、この窓の能所が解離しないか解離するかに対応している。喪の過程の、悲嘆、苦痛、絶望は反Christに属する加工である。思いがけない罪の相続ではなく、罪を埋め合わせるのに言葉や貨幣を以てする擬似救済は告解や免罪符から治療や賠償に姿を変えるが、身に覚えのない物語からの不思議な生還(救済が襲いかかること)にはならない。


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