碧空867 MELANCHOLIA、ALIEN3
867 MELANCHOLIA、ALIEN3
問としての記憶(従って予期)が具体となって解けないで(霊的抽象が具体に戻れないで)疚しさとなって潜伏してしまう、疼くようなスリルと焦燥と戸惑い、鬱然とした静謐、そうしたものの秘密な組成が褐色に色づく、それがメランコリーである。
太陽に隠れていたMELANCHOLIA を獰猛な寄生体にしたものがリプリーの孕んだAlien で、頭上に降りて来る空飛ぶ円盤が受胎告知のmegalomania版 paranoia版であるとすれば、この鬱勃とした寄生は異常な受胎のSF版である。
一体、神々は擬態の諸衝動であり、衝動のリストは身を曝すことで隠れる技術のリストである。リプリーは、何処へ逃れようとAlien に憑き纏われ、隠れない(nowhere to hide )。リプリーがAlien の追跡を振り切って漂着した流刑星(「ALIEN3」)は地下室の天体化で、地下室の地下室となって、獰猛な配管となってAlien が執拗に伸びて来て遍在するのは、それがリプリーの孕む、むさぼるような褐色のメランコリーだからである。それは、配管に潜むのではなく、配管そのものであるから遮断によって閉め出すことはできないし、縦横無尽に透過するかのように配管の内と外は解離しない。それは、どこにでもいて、何と入れ替わっているのか分からない。それが仮初めにも(しかしもの凄い速度で)何処かにそのおぞましい形相を現わして停滞するとすれば、それは零落なのである。
基督教ならずとも救済の教えというものは、身を曝すことで隠れる技術の集成である。このユーモアは本能的であるから、伝教としてのAlien の、その集成欲は獰猛なのである。鏡に面して映るのは、胃袋のように静謐にざわめく配管や空気である。


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