Wednesday, October 26, 2016

碧空876 「再登場」の衝撃2

876 「再登場」の衝撃2  笑顔は先へ進むことの原動力であるにしても、それはどんなに笑顔でも、笑顔であればあるほど歯と歯茎を剥き出しにする獰猛な発作、骸骨や蛆や寄生を暗示し、笑顔が自ら身に覚えのないおぞましい影を暗示しているとは知らないにしても隠せおおせない発作である。  責めと責め苦が解離しない本能であるが伝達であり、伝達であるがエコーし、エコーして顔のまわりを回っているがもの凄い速度で系統発生を経過して目立たなくなる、目立たなくなるが系統発生の前線で器官の延長として(まるで演繹の推進力で)亀裂や卦や星辰の配列のように予言的に全体を孕む。それは、自分だけは秘密に気づいたというように孕むのであるが、頭が混乱して処理できない二重性を胃袋が横隔膜の痙攣発作を以て呑み込もうとする頭脳の位置異常のように笑うのではない。  「八月の光」(W.Faulkner)の中を、針もガラス蓋も脱落してわけもわからずカチカチ鳴っている1910年6月2日の懐中時計のように身ごもって国境を(輪郭を喪失するように)踏み越えて旅する若い女の推進力は、そのような笑顔として顕れた「響きと怒り」である。

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